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株式会社西部試錐工業 取締役会長
株式会社西部試錐工業 代表取締役
インタビュアー:株式会社AZBORN 大槻
西部試錐工業の成長
新事業への挑戦
今後の展望、求める人材
会社設立、法人化までの歩み
その頃は高度成長期で、新入社員も男女で約100名が採用されてたんです。そういうことなんで、私みたいな者でも入社できたんでしょう。(先生から)「まあどうなるか分からないけど試験だけ受けてみるか?」みたいな感じでしたね(笑)入社試験の結果もどうやったかわかんないですけどね(笑)
給料もそんなに高くなかったので、大変でしたね…。
会長が配属された地質調査の部署では、入社後わりと早い時期から現場出張に出ていたようで、皆さん、忙しかったそうです。給料は当時手渡しだったので、よく出張から帰ってからもらってたそうですよ。
現場手当というのが給料以外にあって、それに早出・遅帰手当なんかもあって自分の小遣いになるような感じでした。
そうですね。私は工高土木科卒だったので、ある程度は地質のことも授業で習ってたんですよ。最初は広島での勤務で、その後長崎勤務になりました。
勤務していた会社は高学歴の人が多かったんで、将来のことも考えて地質調査技士の免許を取ったんです。そこからもっと、現場で自分の技術を活かしたいと思い、7年目に思い切って独立を決断しました。まず個人で「北村地質」を立ち上げました。あの頃、下請けで仕事をしている人も結構いて、個人事業者として2〜3人でできる仕事が多かったんです。一班は、海上なら3人、陸上なら2人で行くという感じでした。
ええ、どうせやるのなら地元長崎が良いということで。最初は会社からも反対されたんですけど、自分の決断を優先したみたいな感じで。
一応、会社から技術を認めてもらっていたんで、下請として仕事をしていたんです。最初の頃は県内の仕事が主でした。長崎県は、日本では北海道についで2番目に海岸線が長い(長さ約4,200km)んですよ。
はい、地図で海岸線に沿っていったら、けっこう長いなぁっていうイメージがあると思うんですが、そのとおりです。
長崎はどこも海に面してるじゃないですか。壱岐・対馬、五島、平戸とか…。そして、真ん中に大村湾がある。
最初、会社が海上を主にやっていたもので、長崎(事務所)でも受注するのは海上の仕事、特に当時は海上ボーリングが多かったですね。
長崎は海岸線が長いので、波浪で侵食されたりするので、国土を防護しないといけない。また、漁港とかは、漁船を泊めたり漁村を護るところで、港湾はタンカーとか船舶やいろんな貨物とかを揚げたりする場所で必要なんです。漁港は当時、全国に3,000箇所くらいあって、そのうちの1割(300箇所)が長崎県なんです。高度成長期の中で、港はしっかり造らないと古い石積みの防波堤ばかりじゃ安全ではないということで、予算がついたんですね。
その時代は防波堤も少なかったですね。その防波堤を造る時は、どうしても地質調査が必要ですから。
地面の中って、軟らかい地盤や硬い地盤であったり、調査してみないと詳しくは分からないんです。そのためにはボーリング調査で確認しないといけないので、その予算もついてました。特に長崎県は港湾・漁港事業の予算が多かったので、調査業務は需要があったんです。
関空も海上ボーリングですから、当社は海上調査の実績あったので、大手コンサルから、声をかけてもらいました。
関空は、大型プロジェクト事業で、難しい現場で軟らかい粘土層が厚く堆積していたので、選ばれた技術者じゃないとだめだったと思います。
節目でもあったことと、法人化したほうが、人を集めやすいですよね。個人で仕事してた時に、仲間が増えてきたものですから、これはもう、法人化するしかないということで会社を興しました。最初のメンバーは7名でしたね。
もともと県が企業誘致のため開発した用地で、今の場所が空いていたんで、思い切って購入しました。でも、最初は全然、資金も足りなくて、大変でした。
いや、その後が順調じゃなかったです。オイルショックやバブル崩壊などで仕事量も減りましたね。そういう状況だったから、得意先だけでなく、いろんな会社に営業しないと仕事が確保できないので、営業に足を運んで、実績と技術力をアピールしていきました。
そう、学術調査は2000年頃からでしたね。これは昔の同僚で、大学で教鞭をとっていた元職場仲間がいましてね。その方に声をかけてもらいました。グアテマラでの学術調査などは、これまでの地質調査と似たような感じでした。根本的に違ったのは水月湖(福井県)でしたね。
やはり、一番大変だったのは言葉の壁でした。宗教関係の違いもありますしね。例えば、世界遺産のアンコールワットの調査でカンボジアの人は、仏像などの外壁を大事にしているんですね。なので、機械を担いで運ぶ時は、その機械が「壁や石に当てないように運んでくれよ」って。機械が壊れるんじゃなくて、その壁の方が大事だったんです(笑)傷つけたらいけないということで気を付けてやりましたね。
2人ですね。今度行くグアテマラ(2025年1月)も日本から2人行って、現地の人を5名ほど雇うんです。現場作業は3名で、夜間は物騒だから見張りがいるんですよ。その見張りに2名。
意外にも、グアテマラで現地の人たちとかは、ものすごく機械に興味があって、自分に操作させてくれって、けっこうアピールしてきましたね。
グアテマラは4月に下見に行ってきました。本格的に調査するのに湖の深さなどを前もって調べおかないといけなくて。その湖はある一ヶ所だけ深いところがあって、30m位あるんですけど、あとは50cm位で浅いところが多いんです。ここは全体が浅いんですよ。下見に行った時は水深20cm位だったんです。その前は、雨季と乾季があるんで、水深が変わってくるんです。
今(1月)は雨季ですね。去年行った4月は乾季で水位が下がってたから、乾季に入る前の3月には調査を終わらせないといけないんです。本調査ではフロート台船で作業するので、乾季で水がなくなってしまうと作業できなくなるんでね。
そうですね、実際は不安ですよ。初めてやる仕事は、不安は本当にありますけど、楽しみもありますね。私にはちょっとその冒険心がけっこう強いところがあって(笑)
そうじゃないとできないんでしょうね。海外での仕事は大変です。でも、何回も挑戦されて、難しいけど、やり遂げると達成感は人一倍あるんだろうと思います。
現場だけでなく一連の調査業務にも取り組んだほうが良いと考えましたね。なので、元請で仕事をやらないといけないと、経営者なら誰もが思うんでしょうけどね。
そうですね、「西部試錐の北村」ならやれますよって、口コミで徐々に知られていった、「こういう技術者がいる」ということを学会とかで発信してもらってですね。
できるだけ短期間で作業しましたね。その仕事では、NHKの子供向け番組である特集があって、偶然番組を観ていた孫が、私の名前が画面に出てきて、「これ、じいじじゃない?」って、お母さんを呼んで、「わっ!本当テレビに出てる!」となって、身内で大騒ぎでした(笑)※NHK「四大化計画〜世界は3つで語れない〜(世界四大化計画〜Mr.ザッハトルテの野望〜)」2021年8月16日放送
でも、当の本人は、テレビで特集されてるなんて知らなかった(笑)
この調査で7万年分の試料が採れたおかげで、「世界一の水月湖」っていうことで有名になったそうなんです。
地球の表尺、つまり「ものさし」になってるんですね。
私が印象深いのは福島の原発ですね。東日本大震災が起きた2011年の年ですね。そこに足かけ5年にわたり調査に行っていました。その、復興というか、原発を取り壊し、解体に関する調査をしないといけなかったんです。
大手ゼネコンの仕事でしたけど。凍土壁っていうのを造ったりするので。そこは、放射能も受けるし、ガイガーカウンター(放射能物質の崩壊時に発生する粒子や電子波である放射線を測定する機械)を持って、防護服を着て…。そのうえ、ゴーグルもかけて行かないといけないし、暑い時だったからゴーグルが曇ってしまって、拭くために外すことも出来ないし、車を運転しなきゃいけないから。大変でしたね。
放射能の影響があるかもとなったら、勇気も要りますね。
その時の全景写真など、長崎建設新聞に載せてもらいました。
「地質学」っていうのは分からないところを調べるから興味を持ってる人がきっといると思うんですよね。宇宙開発は、これだけ目に見えるところはいけるけど、目に見えない地下っていうのは面白い発見や、素晴らしいものがあると思いますね。
長年、ボーリングの仕事してきたんで、地球の核まで掘ってみたいね(笑)
私たちの仕事にキャッチコピーをつけるなら「未来ある地下の仕事」なんて、いいね。
誰もが簡単にできる仕事じゃないけど、今後も公共事業や研究も含めて必要とされる仕事だと思います。地質調査は「縁の下の力持ち」的なところがあるんです。
ボーリング調査は目に見えない地下を調査する仕事ですからね。建設業といったら、何かしら品物(形)ができるけど、私たちは調査して、設計に必要なデータを集めることが仕事なんです。目立つことはないけど、実際は重要な仕事だと思いますね。その一環として、学術調査も依頼されたんですけどね。
土台じゃないところもあるんですよ。道路やトンネル、そして、新幹線・高速道路とか、日本は、盛土・切土といって、山を切ってそこを埋めて道路を造ったりしします。なので、地質調査は生活基盤を支える仕事でもあると思いますね。そういうことが根幹にあるから、橋ができたり道路ができたりできるんですね。
地質調査の技術は、会社の先輩たちが優しく説明して教えてあげるということは付け加えて。難しいばかりじゃ、なかなか、ハードルが高くなっちゃうから(笑)